第37回 松江歴史館と観光

2026.03.18コラム

 3月に入りましたが、小雪がちらついたり、寒い日が続いたりとなかなか春めいてきません。天気予報では20日過ぎから晴れの天気が続くということですので、それを楽しみに待ちましょう。3月は旅立ちの季節であり、悲喜こもごもの話題には事欠きませんが、歴史館の誕生月でもあります。

 2011年3月19日に歴史館がスタートしました。10年近くの歳月をかけ、その間様々な課題をクリアしてのスタートでしたので、事前に全国に大きくPRし、たくさんの方に来ていただこうと考えていました。ところがその矢先に3.11東日本大震災が発生しました。全国的な自粛ムード、福島の原発事故、歴史館の財源が原発交付金であることなどを考えると、とても全国発信のPRなどできませんでした。ささやかなスタートとなってしまいました。結局5月の連休前になっておそるおそるPRを始めました。

 このように地味なスタートを切った歴史館でしたが、松江開府400年祭、古事記1300年祭、松江自動車道の開通、松江城の国宝化などによる松江全体の観光客の増に助けられ、コロナ禍前までは、入館者数は20万人前後と安定して推移していました。しかし、コロナ禍の時期には一気に10万人を下回る状況となりました。昨年度14万人台となり、今年度は「ばけばけ」効果により20万人台となりそうです。今年の年賀状は、松江は「ばけばけ」効果でたくさんの観光客が訪れているそうでうらやましいといったものが目立ちました。こうしてみると、歴史館の入館者数は松江全体の観光客数に影響されていることがわかります。

 松江全体の観光客数を増やすにはどうしたらいいか。これまでは戦略プランから実施計画まで行政が作り上げ、観光協会はそれを実施する組織でした。したがって、そこには旅館、交通機関、お茶や菓子業界、スポーツ業界、マスコミなどの観光関連業界(これらはおもに観光協会の理事となっています)の意見は反映されません。これでは観光協会は行政と変わらず、その理事である観光関連業界も参加意欲をなくしてしまいます。というよりも、観光事業は行政がやるもの、自分たちはせいぜいそれに注文を付ける立場だという意識になってしまいます。

 これからは、行政はおおまかな基本計画を作り、観光協会はそれに基づいた実施計画を作りその実施主体となるという形態に移行すべきだと思います。その場合でも、観光協会事務局が案を作るのではなく、理事である関連業界で素案を作り持ち寄り理事会で実施計画として練り上げる、行政はその実施計画が基本計画と整合しているかどうかをチェックする。行政は了解できるものであればその実施に必要なお金を補助金として交付する。財源は宿泊税を使えばいいと思います。例えば、私が市長の時代に文化条例を作りました。7つの柱から成り立っています。その時は実施計画も行政が作ることにしていましたが、観光に関連した部分は観光協会で作ってもらうことにしたらどうかと思います。小泉八雲、お茶、宍道湖などという柱に基づいて5年間の具体の実施計画を作り行政に申請する。行政はそれを検討認可し、必要な財源を宿泊税から補助金として支出するのです。このことは、観光協会の組織強化、人材育成にもつながるものと思います。

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