第7回 AR技術の活用でまち全体を博物館に

2023.01.18コラム

 明けましておめでとうございます。今年はうさぎ年、何事も前向きに、心身ともに元気で過ごす一年としたいものです。

 現在、歴史館には、居ながらにして松江城天守の登閣を疑似体験できるVR(Virtual Reality仮想現実)コンテンツを楽しむためのゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)が設置されています。わざわざ登閣しなくてもいい手軽さもさることながら、これまで長年の課題だったバリアフリーを実現する手段として注目されています。

 一方、これと似て非なるものとして、AR(Augmented Reality 拡張現実)があります。これは、スマホなどのARデバイスを通してみることで、現実世界には存在しないモノをあたかも存在しているかのように見せる技術です。前回述べましたが、松江城を訪れた方は江戸時代には存在した門や櫓を見ることはできません。天守しか当時のものは見ることができませんので、松江城全体の当時の雰囲気は伝わりません。太鼓櫓や南櫓など一部復元したものはありますが、図面や写真がないと文化庁の復元許可は得られません。松江城の正門である大手門を復元しようとしましたが、図面等がありません。そこで、図面等に500万円の賞金を懸けましたが、いまだに出てきません。また大手門を復元できたとしても、その管理や利用をどうするかという問題も出てきます。もし、この拡張現実の技術を使って、江戸時代の松江城の大手門や櫓など全体が復元できれば、大きな満足が得られるはずです。よくNHKなどが江戸城の松の廊下や襖絵などを復元し、テレビで視聴できるようにした番組を放送していますが、これもARの技術を活用したものです。私は世界遺産に認定された仁徳天皇陵、これはもちろん中を見ることはできませんが、ファイバースコープを使って中に入り込み映し出すARを見たことがあります。現在までの研究の成果が画像に圧縮されていますので大変興味深く拝見しました。

 こうした画像はその時点での研究成果をまとめたものとして保存できますが、それとともに、今後研究が進み新たな発見があればそれを反映することもできます。また、松江市は歴史の上に存在している町です。城下を散策しながらこのARで例えば江戸時代の街並みを見ることができれば、松江がいかに歴史・文化に立脚したまちかということを痛感してもらえます。いわば松江全体を博物館として楽しんでもらえるのではないかと思います。さらに、松江の南は古代奈良時代の歴史・文化が栄えたところです。例えば、国分寺、国分尼寺、国府などをARで再現することもできます。松江はそうした材料に事欠きません。

 こうしたことをいっぺんに実現することはできません。少しずつ、計画的に、資料収集の一環として行っていくことが大事です。松江はそうしたことのできるまちですし、それが松江の魅力をさらに高めていくことになるものと確信しています。

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